自転車利用者に対して「ヘルメット着用が努力義務化」され、それに伴って、街中や通販でもヘルメットを装着している方を多く見かけるようになった印象があります。私自身、自転車は非常に身近な移動手段であり、特に高齢の方やお子様を乗せた保護者の方にとっては、命を守るために必要不可欠なものと考えています。
ただし、「努力義務化されたからとりあえず被ればいい」というわけではありません。今回、国民生活センターが調査を行ったところ、一部の海外製ヘルメットにおいて、非常に深刻な問題が発覚しました。

そのヘルメット安全性は大丈夫?
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国民生活センターは、主にインターネット通販で販売されている「海外の安全基準に適合」と表示された6製品を実際に購入し、性能試験を実施しました。結果は非常にショッキングなもので、なんと半数以上の製品で日本の基準に照らした場合、安全性に大きな疑問が残る結果となりました。
例えば、転倒時などにもっとも重要とされる「衝撃吸収性」。この項目では、6製品中3製品が基準値を超える衝撃を頭部に与えるという結果が出ました。つまり、実際に事故が起きたとき、頭を守れない可能性があるのです。
さらに、あごひも部分の強度についても、同じく3製品が基準未達成という結果に。走行中にヘルメットが脱げてしまう、あるいは事故の衝撃で飛んでしまうといった、最悪の事態が想定されます。
ここで気をつけたいのが、「CEマーク」や「CPSC認証」など、海外の基準に適合しているという表示だけを信用してしまうことです。これらの認証自体が無意味だというわけではありませんが、それが日本の道路環境や事故のパターン、頭部サイズに本当に適しているかは別問題です。
また、悪質なケースでは、実際には認証を得ていないにもかかわらず、パッケージにロゴだけを記載してあたかも安全性が保証されているように見せかけている製品もあるといいます。これは明らかに消費者を欺く行為であり、法的にも問題のある表示です。
このようなリスクを避けるために、消費者として私たちができることは「情報を鵜呑みにせず、自分で確かめる」ことです。以下に、私なりの観点から安全なヘルメット選びのポイントをまとめておきます。
信頼できる店舗または日本法人のあるメーカーから購入する
極端に価格が安いものや、聞いたことのないブランドには注意を払ってください。万一事故が起きたとき、保証や対応に雲泥の差が出ます。
SGマークの有無を確認
SGマーク(製品安全協会の認定マーク)は、日本国内で定められた厳格な試験をクリアした製品にのみ与えられます。表示があることはもちろん、偽装でないかを販売元に問い合わせることも重要です。
あごひもは15mm以上の幅と十分な強度があるか
細すぎる紐やすぐに緩む構造では、いざという時に役に立ちません。店頭であれば実際に手で確かめてください。
内側の衝撃吸収材が厚くしっかりしているか
外観だけでなく、内部構造こそが命を守る肝です。通販であっても、レビューや商品詳細をよく読みましょう。
自転車事故による死亡者の約6割が頭部に致命傷を負っているというデータもある中で、ヘルメットは単なるファッションアイテムではなく「命を守る装備」です。
私がこれまで行政書士として、また小規模事業者の経営支援者として感じてきたのは、「見えないリスク」に対してどれだけ事前に備えられるかが、トラブルを防ぐカギであるということです。これは法務の世界だけでなく、こうした生活用品においても全く同じです。
特に子ども用のヘルメットや、高齢者向けの電動自転車用ヘルメットなどは、家族の安心にも直結します。大切な人の命を守るために、ぜひ正しい知識を持ち、信頼できる製品を選んでください。
もしヘルメット選びについての不安や疑問があれば、国民生活センターへの問い合わせも有効です。また、行政書士の立場からも、こうした消費者保護に関連する情報発信を今後も続けてまいります。自転車は私たちの暮らしに欠かせない存在です。その安全性を守るため、私たち一人ひとりができることを、今一度考えてみませんか?