自転車で未来へつなぐ道 ― 大和川リバーサイドサイクルライン、ついに全線開通!

自転車で未来へつなぐ道 ― 大和川リバーサイドサイクルライン、全線開通!

「自転車で走ってこそ見える景色がある」

この言葉を実感できるサイクリングコースが、大阪にまた一つ誕生しました。2025年3月、大阪府が整備を進めてきた「大和川リバーサイドサイクルライン」が全線開通したのです。サイクルセイフティプロジェクトとしても、これはぜひ多くの人に知ってほしいニュースです。

今回は、この新しい自転車道が持つ魅力、安全面の意義、そして大阪・関西万博とのつながりについて、私の目線でじっくりお話ししていきたいと思います。

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大和川沿いに新しいサイクルラインができたよ!

目次

大和川に沿って走る全長約25kmの快走ルート

まずは基本情報から。大和川リバーサイドサイクルラインは、大和川の石川合流地点からスタートし、堤防沿いを右岸(北側)に進む形で、堺市から住之江区、そして咲洲エリアまでつながる全長約25kmのサイクリングコースです。

これだけ聞くとただの「長い自転車道」に思えるかもしれませんが、ポイントはそのつながり方にあります。

このラインは、南河内方面とつながる「石川リバーサイドサイクルライン」、大阪湾岸を走る「大阪ベイサイドサイクルライン」とも接続していて、実は広域的に大阪をぐるっと巡れる構成になっています。

つまり、大阪市内から奈良方面へ、あるいは泉州から和歌山方面へも自転車でアクセス可能なルートが、これでひとつの「輪」になったということ。これは、自転車好きにとっては夢のような話です。

堺市ホームページより:大和川リバーサイドサイクルライン

万博の「足」にもなる、安全で快適な道

この大和川リバーサイドサイクルライン、整備の背景には2025年に開催される大阪・関西万博の存在があります。

会場となる夢洲(ゆめしま)へとつながるルートの一部として、国内外の来訪者が「安全に」「楽しく」移動できるインフラが求められていたわけです。

もちろん、万博が終わってもこのサイクルラインの価値は続きます。通勤・通学、買い物、ちょっとした散歩、そして週末のサイクリング──日常に溶け込むインフラとして、地域の人々の生活を豊かにする道になるはずです。

特に注目したいのが、安全性への配慮。堤防道路を活用したこのラインは、車と自転車の分離が明確。見通しがよく、道幅も確保されており、初心者やファミリー層でも安心して走ることができます。

さらに、各所に案内板や案内マップが整備されているほか、途中にはベンチや休憩所も。高齢者や子ども連れでも、無理なく楽しめる設計になっている点は非常に好感が持てます。

走ることで「地域の魅力」に出会う

かつてリバーサイドサイクルライン近くの地域に行った際に気づいたことがあります。それは、自動車や電車では見落としがちな「地域の風景」が、広がってくるということ。

例えば、堺の古い街並みや、小さな橋を渡った先にある手づくりの無人野菜販売所、川沿いの桜並木、早朝に犬の散歩をする地元の人たち。こうした「生きた風景」に出会えるのが、自転車旅の醍醐味なんです。

走っていると、思わず立ち止まって写真を撮ったり、お弁当を広げて小休止したり。道としての機能だけでなく、「ゆとりある時間」を生み出す空間としても、このサイクルラインは秀逸だと感じました。

記念イベントのにぎわいと地域の期待

開通を記念して、3月29日には堺区の遠里小野(おりおの)でイベントも開催されました。電動アシスト自転車や変わり種自転車の試乗、地元グルメの出店、スタンプラリーなど、来場者が地域の魅力を体験できるプログラムが盛りだくさん。

家族連れや観光客がにぎわう様子を見て、「この道が人をつなぎ、地域を活性化させる」可能性をひしひしと感じました。イベント後には「これをきっかけに毎週サイクリングしてみようかな」と話す地元の方の声も聞かれ、継続的な地域活性の足がかりになるのではと期待が膨らみます。

サイクルセイフティプロジェクトの目線で見ると…

安全な自転車環境の整備と啓発を目指す私たち「サイクルセイフティプロジェクト」にとって、今回のサイクルライン開通はまさに歓迎すべきニュースです。

「安全な道を走ること」は、自転車事故の抑止に直結します。そして、安全に走る道があれば、そこに「楽しく走る人」が生まれ、やがてそれが「自転車文化」として根づいていく。

万博に向けた短期的な整備ではなく、10年、20年先も地域に愛される道として活用されていくために、これからも地域の人や行政と連携しながら、自転車の安全利用を広めていきたいと思っています。

まとめ:大和川の風を感じに行こう

サイクルラインというと「スポーツ志向の人向け」と思われがちですが、実際に走ってみるとそのイメージは変わるかもしれません。

大和川沿いのこの道は、初心者もベテランも、通勤者も観光客も、誰もが気軽に利用できる“公共の風景”です。

風を感じながら、自分のペースで走る。信号に追われることもなく、誰かと並んで語りながらペダルをこぐ。そんな当たり前だけど、どこか贅沢な時間がこの道にはあります。

万博をきっかけに、世界が大阪に注目する今こそ、このサイクルラインのような取り組みが、真の「持続可能な都市づくり」のモデルとして光を放つのではないでしょうか。

さあ、自転車に乗って、大和川の風を感じに行きましょう。そこには、新しい出会いと発見が待っています。