知らずに買ってない?CEマーク付き“非自転車用”ヘルメットの危険性を解説

CEマーク付きヘルメットでも危険?

「CEマークが付いているから安全だと思ったのに…」

最近、私のもとにもこんな声が届くことが増えてきました。確かに「CEマーク=ヨーロッパの厳格な安全基準をクリアした製品」という印象をお持ちの方も多いでしょう。とくに自転車用ヘルメットを探していると、通販サイトや海外製品の中には「CEマーク取得済み」「欧州基準クリア!」という謳い文句が踊っている製品がズラリと並んでいます。

でも、ちょっと待ってください。
そのCEマーク、本当に“自転車用”のものですか?

実はそこが非常に重要なポイントであり、誤解されやすい落とし穴なのです。

CEマークが付いていれば安心?実は“自転車用”ではないヘルメットに潜む落とし穴がに気を付けて!

目次

CEマークには「何用か?」が重要

CEマークとは「EUが定める一定の安全性を満たしていることを示すマーク」ですが、製品カテゴリごとに対応する規格(=基準)が異なります

自転車用ヘルメットの正規規格は【EN1078】。この基準では、転倒時の衝撃吸収性や視界の確保、あご紐の耐久性などが細かく定められています。つまり、自転車利用を前提とした衝撃の想定がされているのです。

ところが、EN812(産業用バンプキャップ)EN397(工事現場用ヘルメット)など、別カテゴリの基準にもCEマークは存在します。外見はヘルメットでも、「落下物に耐えるためのもの」だったり「軽微な頭部打撲の予防用」だったりと、自転車事故で起こりうる衝突や転倒にはまったく対応していないものもあります。

つまり、「CEマークが付いている」=「自転車用に安全」では決してないということなんです。

なぜ「間違ったCEヘルメット」が日本に入ってくるのか

理由は単純です。
見た目が似ていて、価格が安く、売りやすいから。

ネット通販では、中国や東南アジアから大量に出品されているヘルメットの中に、「CEマーク取得済み」と明記されている製品が多数あります。しかし、それらの中には実際には自転車用ではないCEマーク(EN812などを取得しただけのもの)が混ざっているのです。

見た目がスポーティで軽く、カラーバリエーションも豊富。しかも価格は2,000円台〜。つい手に取ってしまいそうになりますよね。でも、肝心の「用途の一致」こそが命を守る上で一番大切なんです。

実際に起こりうる“想定外”の危険性

「まぁ、かぶってるだけマシでしょ」と思っていませんか?
ところが実際には、用途に合っていないヘルメットは「かぶっていても頭部を守れない」ケースが少なくありません。

たとえば…

  • EN812基準のバンプキャップは、ヘルメットというよりは“帽子”に近く、発泡スチロールの衝撃吸収材は入っていません。転倒時の頭部打撲には無力です。
  • 工事用のEN397ヘルメットは、上からの落下物には強いですが、前方・側方からの斜め衝突には弱く、自転車での転倒には不向きです。
  • フルフェイスタイプでCEマークがあるからといっても、それがモトクロス用(EN13634)だった場合、重すぎたり視野が狭すぎたりして、自転車には不適切です。

自転車事故では、前方転倒や側頭部への打撃が多いため、適切な形状・素材・吸収設計がされていないヘルメットでは、命を守る機能を果たせません

安全のために「用途と規格」をしっかり確認しよう

ではどうすればよいか?
答えはシンプルです。

◆ 購入前に、「自転車用(EN1078)」かどうかを必ず確認
◆ できればSGマークやJCFマークも併せてチェック
◆ 不明な場合はメーカー公式サイトや販売元に問い合わせる
◆ “安すぎる”製品は要注意(価格には理由があります)

もしお子さんのためにヘルメットを選ぶ場合や、自分の身を守る大切な装備として選ぶなら、少しだけ注意深く選んでみてください。命を守るのは、マークではなく「適切な性能」です。

CEマークは「万能」ではない。正しく理解し、選ぶ目を持とう

CEマークは信頼できる安全基準のひとつですが、それは「正しいカテゴリ」で「正しく取得されていること」が前提です。

逆に言えば、その前提が崩れると、見た目が似ていても全く安全とは言えない製品になってしまいます。
特にネットで購入する際は、「見た目」や「安さ」だけで選ばず、自分や家族の命を守る道具としてふさわしいかどうかを見極めることが求められます。

私たちは、ヘルメットをかぶることで“意識”を身につけることができます。
その意識とは、自分の命を大切にする意識であり、同時に社会全体の安全への思いやりでもあります。

だからこそ、選ぶところから「正しいヘルメット選び」が始まっているのです。

ぜひ、ヘルメットに書かれた「CEマーク」の奥にある、本当の意味を読み取ってください。そして、大切な人にこそ、その情報をシェアしてあげてくださいね。

“かわいい”だけじゃダメ!子どもの命を守るヘルメット選びのポイント

なお、最近では国内メーカーでもCEマークとSGマークの両方を取得している製品が増えており、品質と安全性を両立した選択肢が広がっています。安全とは「ただかぶること」ではなく、「正しく選ぶこと」から始まります。ヘルメット選びにほんの少しだけ時間をかけて、自分や家族を守る第一歩を、しっかりと踏み出していきましょう。未来の安心は、いまの選択にかかっています。

とくに、お子さんのヘルメットを選ぶ際には、「かわいいデザイン」や「軽さ」に目が行きがちですが、何よりも大切なのは“命を守れるかどうか”という視点です。保護者が正しい知識を持ち、信頼できる製品を選ぶことこそが、子どもの安全を守る最大の鍵になります。見た目や価格に惑わされず、安全性という“本質”を見極める目を、今こそ持ちましょう。

まとめ

自転車ヘルメット選びは、自分や家族の命を守る大切な行動です。見た目や価格だけでなく、用途に合った安全基準を満たしているかをしっかり確認することが、真の安心につながります。正しい知識で、納得のいく一つを選びましょう。

OGK Kabuto公式NOTE記事(CEマークと安全基準の解説)

消費者庁「自転車用ヘルメットの安全性を示すマークについて」

製品安全協会(SGマーク制度の公式情報)

European Committee for Standardization(英語)