城崎温泉から海辺へ、TAKENO Cycle & Trainで折りたたみEV自転車とJRをつなぐ旅

海辺の小さな駅前でヘルメットを着用した大人が折りたたみ自転車を押している明るい旅行風景

城崎温泉で小さな折りたたみ式EV自転車を借り、海沿いのまちを巡り、帰りはJR山陰本線へ。兵庫県豊岡市の竹野エリアで始まっている「TAKENO Cycle & Train」は、レンタサイクルと鉄道旅をひとつにした、少し新しい周遊実証です。

城崎温泉から山陰海岸へ、自転車と列車をつなぐ実証

たけの観光協会の公式案内によると、竹野地域公共交通利用促進委員会は、JR山陰本線「城崎温泉駅〜浜坂駅間」の利用促進を目的に、折りたたみ式電動自転車を活用した「TAKENO Cycle & Train」を実施しています。単なるレンタサイクルではなく、「自転車による地域周遊」と「JR利用」を組み合わせる観光交通モデルとして位置づけられている点が特徴です。

貸出期間は2026年7月15日から11月3日まで。城崎温泉駅周辺の木下自転車店で折りたたみ式EV自転車を借り、山陰海岸エリアを走ったあと、帰路などでJRを利用する流れが想定されています。将来的には、自転車を折りたたまず車内に持ち込めるサイクルトレイン実証も視野に入れているとされ、今回の取り組みはその前段階としても注目できます。

料金は実証価格、ただし台数と条件は要確認

公式ページでは、実証実験期間中の貸出料金として、4時間まで500円、4時間超から9時間まで1,000円と案内されています。貸出時間は8時から18時までで、日をまたいでのレンタルはできません。貸出台数は5台のみのため、思い立って現地で借りるというより、予約フォームや公式案内で空き状況を確認してから出かけるのがよさそうです。

利用には身分証明書の提示が必要で、未成年者への貸出はできないとされています。また、JR利用が必須条件で、雨天・荒天時は貸出をしない旨も明記されています。旅の自由度は高そうですが、通常のレンタサイクル以上に「鉄道と組み合わせる実証」であることを理解して使いたい仕組みです。

スタンプラリーで、海・温泉・駅前をめぐる楽しみも

同じ期間には、折りたたみEV自転車をレンタルした人を対象にしたスタンプラリーも実施されています。スタンプ設置場所には、木下自転車店、城崎文芸館、日和山海岸ガイドセンター、竹野観光センター、絶景温泉北前館、道の駅あまるべ、香住観光案内所、浜坂駅前のまち歩き案内所などが並びます。

豊岡市観光公式サイトでは、竹野について、白砂の竹野浜、焼き杉板の港町らしいまちなみ、山陰海岸ジオパークの自然などが紹介されています。自転車で移動すると、駅前、海辺、温泉、港町の路地といった風景の切り替わりを短い距離で味わいやすいのが魅力です。過去に紹介した和歌山のサイクルトレイン「サイクルトレインプラス」や、北近江のサイクリングスタンプラリーと比べても、「鉄道利用を応募条件に含める」点がこの取り組みらしいところです。

安全面で大事なのは、駅では乗らずに運ぶこと

今回の仕組みで特に大切なのは、列車に乗る前後の扱いです。公式案内では、駅構内へ入る前に自転車を必ず折りたたみ、専用バッグに収納すること、駅構内やホームでは走行せず、必ず降りて運ぶことが示されています。ホームでは黄色い線より内側で待ち、ほかの利用者の妨げにならないよう配慮することも求められています。

また、乗車前にはブレーキ、バッテリー、タイヤ空気、折りたたみ機能、鍵などの点検が案内されています。電動アシストや折りたたみ機構は便利な一方で、ふだん乗っている自転車と感覚が違うこともあります。走り出す前にサドル高、ブレーキの効き、ライトの有無、バッテリー残量を落ち着いて確認しておくと安心です。

海沿いの観光地では、歩行者、観光バス、駐車場へ出入りする車、写真を撮る人などが混在しやすくなります。地域の道を借りて楽しむ意識で、速度を控えめにし、歩道や細い路地では無理に走らないことも大切です。サイクリングルートを楽しむ視点では、大和川サイクルラインの開通紹介で触れたように、道そのものの魅力と安全な使い方をセットで見る姿勢が欠かせません。

「いつか本格サイクルトレインへ」という期待

地方の鉄道路線では、日常利用の減少と観光需要の取り込みをどう両立するかが大きなテーマになっています。TAKENO Cycle & Trainは、まず折りたためるEV自転車と輪行バッグを使い、ルールを守って列車に乗せる形から始める実証です。いきなり専用列車を走らせるのではなく、利用者の動き、駅や車内での課題、観光地での回遊性を確かめる取り組みとして見ると、かなり現実的です。

自転車好きにとっては「片道を自走、帰りは列車」という選択肢があるだけで、旅の距離感が変わります。体力や天候に合わせて行程を短くでき、海沿いの景色を見たあとに温泉や駅前の食事を組み合わせる余地も生まれます。水素自転車を扱った甲府の次世代モビリティ事例と同じく、乗り物そのものだけでなく、まちの動き方を少し変えるニュースとして読みたいところです。

まとめ:小さな自転車が、海辺の鉄道旅を広げる

TAKENO Cycle & Trainは、城崎温泉を起点に、竹野、香住、浜坂方面へ視線を広げるきっかけになる実証です。料金の手軽さは魅力ですが、5台限定、JR利用必須、折りたたみ・専用バッグ収納、身分証確認、未成年不可、荒天時貸出なしといった条件があります。出かける前には、必ず公式ページで予約方法、貸出状況、列車時刻、スタンプラリーの条件を確認してください。

自転車と鉄道を組み合わせる旅は、速さよりも「寄り道のしやすさ」が魅力です。山陰海岸の景色、港町の路地、温泉地の駅前を、無理のない距離でつないでいく。そんな小さな移動の実験が、将来の本格的なサイクルトレインにつながるかもしれません。

FAQ

TAKENO Cycle & Trainはいつまで利用できますか?

公式案内では、貸出期間とスタンプラリーの設置・応募期間はいずれも2026年7月15日から11月3日までです。ただし雨天・荒天時は貸出しないため、出発前に公式情報を確認してください。

自転車をそのまま列車に持ち込めますか?

いいえ。今回の案内では、駅構内へ入る前に折りたたみ、専用バッグに収納することが必要です。駅構内やホームでの走行も禁止されています。

誰でも借りられますか?

身分証明書の提示が必要で、未成年者への貸出はできないとされています。貸出台数は5台のみなので、予約や空き状況の確認が重要です。

参考資料